サンシックンド油の作り方

サンシックンドオイルは、生のオイルを、空気が通る状態で長期間太陽光に晒して作る。強い乾燥性、粘性の高さ、黄変の少なさが特徴である。水との親和性が良く、テンペラグラッサ等のエマルジョン技法の媒材としても適している。市販品はボイルされるために濃い褐色だが、自製品はその工程を省けば透明なサンシックンド油を手にすることができる。

水槽などのガラス容器に水を入れ、その上に薄い層ができるように乾性油(亜麻仁油、ポピー油、ウォルナット油など)を注ぐ。油層は2~3cmぐらいの厚さになる程度がよいかと思う。

油が乾燥して膜ができないように、できるだけ頻繁にかき混ぜる(夏場などは最低でも日に1回かき回さないとすぐに膜ができる)。また、オイルと水が交じり合うことも肝要である。水槽用のポンプを入れて、水とオイルを常に循環させるというアイデアを聞いたこともある。

ゴミやホコリが入らないよう、かつ太陽光は通すように、透明なガラス板などでフタをする。その際、空気を遮断しない為にある程度の隙間を空けておく。そして、軒下など雨は当たらないが太陽光は良く当たる、という条件の場所に配置する。サンルームがあれば最適だが、油の酸化する臭いが充満するので、個人宅の室内で行なうのは難しい。ちなみに下の写真は、正方形の水槽に鍋のフタ(ガラス製)を被せた例。鍋のフタは湾曲しているので、空気を通す隙間ができるし、雨はけも良い。取っ手が付いているので、その後の作業でも何かと便利である。

季節によって異なるが、2~3ヶ月ほど太陽に晒す。長く晒すほど粘度が高くなるが、晒す期間を各自調整できることも自作の利点と言える。

※光線の集中による、いわゆる「収れん現象」で火災が発生しないように注意したい。水を入れたガラス瓶やペットボトル等がレンズの役割を果たし、太陽光を集中させ、近くに燃えやすいものがあると発火させてしまうという恐れがある。念のため円筒形の容器は避けた方がよいであろう

十分に晒した後、油だけを回収する。水と油が綺麗に分離した状態で、上のオイルだけ保管用の容器に移せばよい。露光中に小さな虫やゴミが混入していることが多いが、たいていのものはオイルより下に沈むので、上澄みをお玉ですくうだけで回収できるが、念のためフィルターで濾すとよい。

はじめのうちはお玉で油だけをすくうことができるが、油が少なくなるに従い水を残して油だけ取るのが難しくなる。その場合は、オイルと水をもっと細長い容器(ペットボトルを半分に切ったものなど)に移し、小さなレードルですくうと若干やりやすくなる。それでもすくうの難しくなってきたら、ペットボトルのまま冷凍庫に入れ、水が凍ったところで、油だけ移すという手がある。もっと簡単な方法だと、水と一緒に油をすくいだし、コーヒーフィルターを載せた漏斗に注ぐと、先に水が全部流れ落ちるので、その後にゆっくりと垂れてくる油を回収するという手もある。

サンシックンドオイルは、容器内で反応して圧力を生じ、瓶などの容器を割ることがあるという。ボイルすればこのようなことは避けられるが、褐色の色が付くなど性質上さまざまな変化をもたらす。自作して自分で使う分には、出荷した際のクレームなど考慮する必要はないので、そのまま保存しておける。ボイルしていない自製サンシックンドオイルは、市販のものよりさらに乾燥性がよいようである。自製をしている方にも、乾燥が速いという印象を聞いたことがあるし、自分で比較したときもやはり速かった。未精製のコールドプレスド油を使用する場合は、水溶性の粘性物質が析出して邪魔になるので、不純物を十分取り除いておかねばならない。

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